
水堀と空堀の違いは?

なんで山城には水堀がないの?
*この記事はそんな方に向けて投稿しました

こんにちは!
歴史オタクのりょーすけです!
今回は堀と土塁について解説しました
どちらもお城を守る防衛線として、時代の変化とともに進化を遂げてきました
今回の投稿をきっかけに、城巡りがより一層楽しくなると嬉しいです
堀 (空堀・水堀)
堀とは、城全体を囲み、敵の侵入を防ぐ最前線の防衛基地です
何重もの堀で城を囲むことで、城の防御力を高めていました
例えば、戦国時代の頃の大阪城は、全長約12㎞の堀で城下町ごと囲っていました

さらに、北条家の小田原城も全長約9㎞の堀で城下町ごと囲っていたんだ
だから城内で畑や田んぼを作っていたから長期間の籠城戦にも強く、武田信玄や上杉謙信でさえも攻め落とせなかったんだ
堀の重要性が分かるね
そして堀には空堀(からぼり)と水堀(みずぼり)があり、堀の底の形によって四種類に分けられます
「箱堀(はこぼり)」
「毛抜堀(けぬきぼり)」
「薬研堀(やけんぼり)」
「片薬研堀(かたやけんぼり)」
箱掘
特徴:掘りやすい上に、形が崩れにくい
弱点:足場安定しているため、敵が動きやすい
毛抜堀
特徴:毛抜きのような形状からこの名がついた。
利点:敵が堀に落ちると、滑って登れず、防御力が高い。
薬研堀
特徴:底が鋭く深く、登るのが非常に困難。
利点:敵のスペースが狭く、身動きがとりにくい
片薬研堀
特徴:一方からは登りやすく、もう一方からは登れない。
用途:薬研堀と同じく、敵のスペースが狭く、身動きがとりにくい
特に、薬研堀と片薬研堀は箱堀や毛抜堀に比べると、防御力が高いことで知られる
なぜなら、薬研堀と片薬研堀は堀底が狭いことから、堀に落ちた敵兵は身動きがとりにくく、城兵は弓や鉄砲で狙いやすかったからだ

だったら全ての堀を薬研堀か片薬研堀にすればよくない?

もちろんそれがベストです
しかし、平城で深い堀を造ると水が湧き出てしまいます
すると、堀底が尖って防御力が高い薬研堀などの堀底が崩れ、どうしても堀底がなだらかになってしまう
だから、平城で薬研堀などを造るのは困難であり、水が湧き出てくるなら水堀にした方が防御力が高くなります
よって、お城の堀については
山城=空堀(薬研堀・片薬研堀)
平城・平山城=水堀(箱堀・毛抜堀)
の法則が成り立つ
このように、堀の形状は地形や防御戦略に応じて使い分けられ、特に山城では地形を活かした複雑な堀の構造を見ることができます。

ちなみに、堀を造る際に出てきた土を盛り固めることでできるのが「土塁」だよ
空堀
空堀は水堀に比べ敵に侵入されやすいと思われますが、そもそも空堀は水の確保が困難な山城で使われていました
山の尾根を切断して敵の侵入を防ぐ堀切(ほりきり)や、その堀切を山の麓(ふもと)まで伸ばすように掘り続ける竪堀(たてぼり)が中心でした
山城には横堀と竪堀が併用して使われていて
なだらかな斜面は横堀
急斜面は竪堀(山を縦に掘った堀)が掘られていました

なだらか斜面だと敵が登りやすいから沢山の横堀で敵の縦移動を制限していたよ
一方で、急斜面は縦移動がしにくいから竪堀を作ることで横移動も制限したよ
さらに、鉄砲が普及すると障子堀(しょうじぼり)が造られるようになります
堀の底に田畑の畔(あぜ)のような幅の狭い土手を築いて、堀底を細かく区切ったもので、
いわば平均台が縦横に設置されているようでした
そのため敵は自由に動きにくく、城兵の格好の的になります

障子掘りは北条家の山中城で見ることができるよ
水堀
その名の通り堀を水で満たしたもので、多くの平地の堀では水堀が造られていました
中には、城の内部に何重もの水堀を巡らす城や、水堀の中で水鳥を飼うことで、警戒装置の代わりとする城もありました
そもそも、約30㎏もある鎧を武装した敵は水堀を泳ぎ切ることは困難な上、水底に先端が鋭い杭が打ち込まれており、水堀で命を落とす者もいたそうです
土塁 (どるい)
土塁はお城の外側に位置する最前線の防衛として機能していました
山城の場合は、自然物の断崖や山の斜面を削ることで、容易に土塁を造ることができ
平城の場合は、堀を掘る際に排出される土を盛り上げて固め、勾配をつけることで造られました
土塁を造る際に特にこだわっていたのが勾配です。
勾配が急すぎると土崩れが起こりやすく、緩やかすぎると敵に侵入されやすい
よって、土塁が崩れにくく、敵が登りにくい傾斜45度が理想とされていました
そして土塁の高さは3メートルから5メートルもあり、さらにその上に土塀や木柵などを設けることで、より高くしていました
当時は槍を立てて持ち歩いていたため、敵から城内の様子を知られないために、槍以上の高さ(槍=約5.4メートル)が必要だったそうです
武者走りと犬走り
土塁は敵を迎え撃つ場となっていたため、迎撃のための工夫がされていました
それが「武者走り」と「犬走り」
土塁の内と外には通路状の部分が設けられ、内側を武者走り、外側を犬走りという
犬走りは土塁を安定させるためのある程度の幅が必要でした
しかし、それだと敵の足がかりになるため、できるだけ狭いほうが良い
つまり、犬しか通れない広さということで犬走りと言われています
投稿者から一言

最後までご覧いただきありがとうございます。
空堀と水堀の違いなど理解していただけたでしょうか?
これからもお城や戦国武将について解説していくのでぜひご覧ください!
前回は天守の種類や歴史、役割について解説したので、気になる方はぜひご覧ください

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